①適応障害の診断基準
②私と適応障害の症状
③病院受診のきっかけ
④適応障害を経験して伝えたいこと
私は30歳の時、引っ越しと転職が原因の適応障害と診断されました。
私の場合は約2週間が経過した頃から、少しずつ症状が出始めました。
当時は「今までも、転職後3か月間ぐらいは体の不調を感じたことがあるし、今回も慣れるまでの我慢。」だと思っていました。
しかし次第に悪化していきました。
- 明らかな心身の不調を実感
- 適応障害やうつのチェックリストを試す
- 経験談を読んで自分と照らし合わせる
原因から適応障害の予想を立てましたが、典型的な特徴が当てはまらず「受診する程の状態なのか、そもそも受診しても良いのか」が分かりませんでした。
今は客観的に振り返ることができますが、当時はただただ絶望感と不安が募るばかりでした。
今回は適応障害についてと、私に現れた症状についてお話します。
適応障害とは
適応障害は「ストレスの原因(ストレッサー)により様々な症状を引き起こす病気」です。
環境の変化と価値観のギャップが原因です。
合わない環境、苦手な環境は人それぞれで、環境が大きく変化したときには「誰にでも」起こり得ます。
例えば以下のように、周囲から見れば喜ばしい出来事でも、適応障害の原因になり得ます。
- 昇進
- 結婚
- 引っ越しなど
適応障害は誤解されていることも多いですが、精神科を受診した時に先生から花粉症に例えた説明を受けました。
「花粉症の人が原因植物の近くに行ったらどうなりますか?苦手な状況は人それぞれで、甘えではないですよ。」
普段はストレスに強い人でも「心と身体のバランスが乱れている時に苦手な状況」が起きれば、適応障害にかかる可能性は十分にあります。
当時の私も自分を責めていました。
適応障害は「甘えではない」ので安心してくださいね。
適応障害の診断基準
発症にはさまざまな要因が関わっています。
診断基準は以下の通りです。
心の病気は、検査などによって目に見て診断することができません。これでは診断に偏りがでてしまうので、国際的な診断基準を参考にされています。
これらの診断基準の要点は、以下の4つの項目になります。
- ハッキリとしたストレス因があって、3か月以内に症状が出現
- 著しい苦痛や生活に支障がある
- ほかの精神疾患でも、死別反応でもない
- ストレス因がなくなると改善し、6カ月以内によくなる
このように適応障害は、「原因」からみて診断をしていきます。明確な原因があって、それがストレスになることが診断の前提です。ですから、「原因はよくわからない・・・」という方は、適応障害とは診断できません。
症状が現れる前に具体的なストレスがあったのかが、他の疾患と区別する上で重要です。
ただ主観だけで著しい苦痛・生活に支障があるのかを判断するのは、本当に難しいです。
どうしても「ただ疲れているだけ」と片付けてしまうためです。
当時は適応障害の判断基準を見て「環境の変化は誰にでもあるし、この程度のストレスで病気を疑って良いのかな…」と悩み、受診が遅れる原因にもなりました。
最終的に引っ越し・転職が原因の適応障害と診断されました。
関連【適応障害】休職・退職|仕事ができない時は診断書を提出する理由
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適応障害の症状とは
複数の症状が起きることも多く、人それぞれです。
- 不眠
- 動機
- 不安感
- 抑うつ気分
- 怒りっぽくなるなど
適応障害の特徴と違う私の症状
適応障害の特徴として「ストレスから離れると症状が落ち着く」「プライベートでは元気で旅行にも行ける」などの情報を多く目にしました。
私の場合は引っ越しも原因の1つですが、最も強いストレッサーは確実に「職場」です。
しかし職場から離れても症状が落ち着かず、毎日少しずつ症状が悪くなっていきました。
適応障害の特徴に当てはまらないと感じ、どうするべきか本当に困りました。
本当は大したことがないのかもしれない、逃げたいだけなのかもしれないと思い、苦しかったです。
退職までに生じた症状
私は身体も心も限界を迎える前に退職しました。
ただし適応障害の場合、退職などの大きな決断は1人で決めないことが大原則です。
病院を受診していれば医師に、未受診の場合もまずは信頼の置ける人に相談して下さい。
これから症状をお話します。
緊張性発汗
私は体質的に運動でもほとんど汗をかきませんが、仕事中は足から異常に汗が出ていました。
これは緊張性発汗によるものです。
手・足の裏・わきなど限られた部位に現れる発汗
通気性に優れた靴と靴下を購入してもどうにもならず、足裏が濡れる程でした。
発汗が適応障害の症状とは気付きにくいですね…
肩こりと痛み
入浴時にお湯に浸かったり、首肩を温めたりしていましたが全く改善しませんでした。
次第に痛みを感じるようになり、間隔をあけて2店舗で全身マッサージを受けました。
どちらの店舗でも「全身のコリがひどすぎます!!」とすごく驚かれました…。
「あまりにも全身がかたいですが、何のお仕事をされているんですか!?」とも言われてしまいました。
当時は全身に何か重い物をまとっている感じがしました。
月経異常
社会に出て10年程経過しています。
今までも強いストレスを感じたことはありますが、この時生まれて初めて生理が遅れました。
ずっと周期が安定していたのにも関わらず、10日以上遅れてしまいました。
アプリで管理をしていたおかげで気付くことができました。
睡眠障害
精神疾患では不眠を訴えることが多いです。
普段は寝付きが良くありませんが、この時は強い疲労感と倦怠感の影響でかえって寝付きが良かったです。
しかし毎朝、目覚ましをセットしている2時間前に目が覚めるようになりました。
目覚めはとても悪かったです。
目が覚めると動悸と焦りに襲われ辛かったです…
表情が乏しくなる
退職直前には笑うことが困難になりました。
表情が固まり、厚い仮面を貼り付けられているような感覚で、頑張って笑顔を作るのがつらかったです。
笑うことも泣くことも怒ることもなく、感情もどんどん鈍くなり、不安と焦りだけが残りました。
誰に対しても反応が鈍くなり、申し訳ない気持ちでいっぱいでした…
思考力と判断力の低下
今振り返ると少しずつ、でも確実に思考力が低下していました。
これも当初は疲れだと考えていました。
明らかにおかしいと実感したのは「趣味について考えることができない」と分かった時です。
好きなことも出来ない
私はキャンプが大好きです。
今までは、スケジュール的に少々無理があってもキャンプに行っていました。
就職して5週間が経過した頃、夫が気分転換にとキャンプに誘ってくれました。
今までは天候を確認・キャンプ場を手配・食事を決めるなどを行っていましたが、考えようとしても考えが全く思い浮びません。
- 候補地が思い浮かばない
- 天気の他に何見てたっけ?
- 計画の立て方が思いつかない…
脳内にベールが掛かっているような、考えが絡まって出てこない感覚でした。
表現が悪いですが「頭が回らない、考えもまとまらない。バカになってる…!!」と本気で思い、本当につらかったです。
思考力の低下は退職後も数カ月続きました。
退職後に現れた症状はこちらの記事をご覧ください。
関連【適応障害】仕事を辞めた後に症状が悪化│具体的な症状を解説
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精神科受診を考えるきっかけ
思考力が低下するなかで、強くなっていった思いがあります。
それは「今すぐ消えたい」という気持ちです。
しかも日に日に強くなっていきます。
すでに日常生活に支障をきたしている中で、良くない考えだけは次々と浮かんできます。
頭の中で駆け巡っていたこと
今までそんなことを考えたことがないのに、次々と湧いてきます。
今思えば、死んでしまうと家族や友人が悲しむので「消えたい」だったんだと思います。
こんな状態でも夫が悲しみ、苦しむのは見たくありませんでした。
そのため自分自身の存在も、周りの人の記憶からも消えて無くなりたいと切に願うようになりました。
このままでは良くない方向へ向かってしまう、私のせいで夫に迷惑をかけ続けるのは嫌だと思い受診を決意しました。
適応障害の経験者としてのまとめ
今となっては、あの日病院を受診した自分を褒めてあげたいです。
今はネットで簡単に情報が手に入ります。
有益な情報はとても役に立ちますが、私のように困惑する方もいるかもしれません。
私が情報を得ようとした目的は、今の状態が精神科や心療内科を受診するべきなのか、病院に行ってもいいのかを知るためでした。
客観的に当時の私を見たら早急な受診を勧めますが、当時は判断力も思考力も低下しています。
私のように困っている方、似たような症状がある方には受診をおすすめしたいです。
受診をすすめる理由
自分が分からなくなったり、漠然とした不安を少しでも回避できます。
精神科や心療内科は気軽に行きにくいですが、自身の状態を医学的な面で客観的に診てくれる場所です。
院内の雰囲気はイメージより柔らかく、プライバシーに配慮している病院が多いです。
初めての精神科受診には勇気も必要でしたが、自分自身の行動がその後の生活に与えた影響は大きいです。
まずは近所の病院を探してみることから始めてみませんか?
適応障害がよくなるまで
私は回復するのに半年以上かかりました。
通常原因となるストレスがなくなれば6カ月以内に症状も治まります。
治療が成功すると、以前よりも精神的に強くなるといわれています。
現在回復してから約1年経ちます。本当にゆっくり、ゆっくり回復していきました。
焦りもあり、良くなるまでは辛かったです。
生きている意味が分からなくなったり、他人を羨むことも本当に多かったです。
それでも今は以前のように生活することができていますし、以前よりも強くなったと思います。
他にも適応障害の記事を作成していますので、よかったら併せてご覧ください。
適応障害のまとめ記事はこちらからどうぞ!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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