①原因はインスリン抵抗性と分泌低下
②高血糖が続くと合併症を起こす
③合併症は生活や人生に支障をきたす
④生活習慣の見直しが重要
日本人はインスリン分泌能が低い
欧米人に比べ日本人はインスリン分泌能が低いことが指摘されています。
肥満・運動不足・過食(特に高脂肪食)などにより、インスリン抵抗性が高まりインスリンの働きが悪くなると、徐々にインスリンを分泌する能力が低下します。
高血糖の状態が続くと糖尿病を発症します。
昔は贅沢病と言われていました…
全員に「生活習慣の問題」があるわけではありません。
血糖値を望ましい範囲にコントロールするために、食事や運動習慣の見直しがとても重要です。
肥満・運動不足・過食の3つは大きなリスク因子
- 肥満
- 運動不足
- 過食(高脂肪食)など
2型糖尿病は食事の乱れや運動不足・肥満・ストレスなどさまざまな要因が重なって発症します。
肥満
肥満による内臓脂肪の蓄積がインスリン抵抗性を高めてしまいます。
インスリン抵抗性とは、インスリンの効きが悪くなる状態のことです。
更に内臓脂肪の蓄積が以下の病気を引き起こし、動脈硬化性疾患発症の誘因にもなります。
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 脂質異常症
- 高尿酸血症
- 高血圧など
動脈硬化性疾患とは「狭心症や心筋梗塞など」のことです。
運動不足
運動を行うとブドウ糖や脂肪酸が利用促進、骨格筋が収縮することで以下の効果があります。
- インスリン抵抗性の改善
- 血糖低下効果
- 肥満解消など
反対に運動不足は肥満を誘発し、糖尿病の発症リスクを増加させてしまう原因となります。
加齢で筋肉量が減少し、脂肪の割合が増えることでもインスリン抵抗性は高まってしまいます。
過食(高脂肪食)
日本人の総エネルギー摂取量は減少傾向であるにも関わらず、糖尿病の患者数は増加傾向です。
動物性脂肪の摂取の増加が原因の1つです。
動物性脂肪の大量摂取は脂肪毒性と呼ばれる状態を引き起こし、インスリン分泌の低下に関与します。
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糖尿病の3大合併症
高血糖状態そのものがインスリンの分泌低下と抵抗性を高め、さらなる高血糖を招きます。
この状態を糖毒性といいます。
適切な治療を受けずにこの状態のまま放置してしまうと、高血糖状態が慢性に続いていきます。
・糖尿病網膜症
・糖尿病腎症
・糖尿病神経障害
高血糖が長く続くと、細小血管が障害され(詰まったり、損傷を受けると)合併症を起こします。
糖尿病網膜症
網膜は眼底にある「神経の膜」です。
ものを見るための重要な役割があります。
網膜には無数の毛細血管が張り巡らされており、毛細血管が障害されると糖尿病網膜症を引き起こします。
かなり進行するまで自覚症状がない場合もあり、放置すると失明してしまうこともあります。
眼科で定期的な検査を行う必要があります。
早期発見・早期治療が重要です。
眼科では眼底検査が行われます!
糖尿病腎症
腎臓の働きは以下の通りです。
- 血液を濾過
- 老廃物などを仕分ける
- 尿をつくる働き
腎臓の「糸球体」という部位には毛細血管が密集しています。
血糖値が高い状況が10年以上続くと血液を濾過する糸球体が障害され、糖尿病腎不全を発症するといわれています。
病期が進行すると腎臓の働きが回復せず、透析が必要になります。
糖尿病腎症は数カ月〜数十年かけて、徐々に進行していきます。
初期には自覚症状がほとんどなく、気付いたときには病気が進行している可能性が高いです。
糖尿病神経障害
糖尿病の合併症の中で最も頻度が高いです。
神経が変形したり神経に栄養を届ける最小血管が障害されることで発症します。
糖尿病神経障害の症状は以下の通りです。
- 手足のしびれや痛み
- 力が入りにくい
- 立ちくらみや排尿障害など
糖尿病神経障害では痛みや温度を感じる神経と手足を動かす運動神経、生体の維持に必要な機能を行う神経が障害されます。
重症化すると壊疽(組織が壊れ腐ること)を起こすことがあります。
抹消神経障害は左右対称に両手足の末端から始まるため、足の壊疽を起こす頻度が高いです。
食事はエネルギー量と栄養バランスが重要
糖尿病の食事療法は特別な食事ではなく、バランスの良い健康的な食事をすることです。
食事の量と質を考え、1日3食の規則正しい食事が基本になります。
・個人に合わせたエネルギー量
・栄養バランスのよい食事
エネルギー量(摂取カロリー)の計算、栄養バランスの計算については以下の記事をご覧下さい。
関連【糖尿病と食事】最も重要で基本な食事療法「難しい!」をシンプルに
食事療法の目的は、肥満を改善することと良好な血糖コントロールを保つことです。
これは合併症の予防や発症を遅らせることにも繋がります。
適切な運動習慣
適切な運動を習慣化することが大切です。
2型糖尿病の原因の1つであるインスリン抵抗性の改善が期待できます。
・食事療法と組み合わせる
・インスリン抵抗性を改善
・合併症の発症や進行を遅らせる
食事療法と組み合わせることで更に高い効果が期待できます。
運動療法の目的はインスリン抵抗性の改善を通して血糖値の上昇を抑えること、合併症の発症や進行を遅らせることです。
肥満がある方は標準体重に近づけることで、インスリン抵抗性が改善されていきます。
標準体重は以下の表を参考にして下さい。
150cm | 155cm | 160cm | 165cm | 170cm | 175cm |
49.5kg | 52.9kg | 56.3kg | 59.9kg | 63.6kg | 67.4kg |
2型糖尿病のまとめ
糖尿病治療の目標をまとめます。
- 合併症の予防
- 合併症の進展抑制
- QOLや健康寿命の確保
QOLとは、人生と生活の質のことです。
生活習慣の見直しで、薬を飲まなくてよくなったとしても治ったわけではありません。
安定した生活習慣と定期的な受診を続け、うまく付き合いコントロールしていく事が大切です。
糖尿病の治療と合併症予防をまとめたページはこちらです!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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