①やけどの予防
②正しい爪切り
③乾燥予防・保湿
④いつでも靴下を履く
⑤適した靴を履く
傷を作らないことが大原則です。
糖尿病があると、それだけで足切断(下肢切断)のリスクがあるといえます。
高血糖の状態が長く続くと、糖尿病性神経障害・血流障害を引き起こします。
糖尿病性神経障害が進行すると足の感覚が鈍くなり、痛みや熱さも感じにくくなります。
「傷ぐらい悪くなってもすぐに治る」との認識では後悔することになります。
フットケアは難しい手順などもありませんし、毎日の生活に取り入れるだけです。
今回は皆さんの足を守るコツを解説します。
糖尿病と足切断(下肢切断)の関係
①神経障害:ケガ等に気付きにくい
②血管障害:血流が悪く治りにくい
③高血糖:感染症が起きやすくなる
④自律神経障害:皮膚の乾燥
血糖コントロール不良、糖尿病の合併症が足切断の原因です。
血糖値をコントロールすることと、正しいセルフケアが大切です。
糖尿病の足切断を防ぐフットケア
これから、私が病院で患者さんに説明している足を守る5つのポイントを解説します。
簡単に取り入れられることばかりですので、ぜひ参考にして下さい。
日頃のケアで傷等がないか確認することも大切ですね。
糖尿病性神経障害のやけどの予防
ヒーターに足を近付けたことで、気付かぬ内に火傷を負った例もあります。
こたつや湯たんぽなども注意が必要です。
足用カイロは、他のカイロよりも高温になりますので避けて下さい。
貼るカイロ等も避けた方が良いですが、使用する場合必ず洋服の上に貼って下さい。
入浴時はやけど予防の為に「ひじ」で温度を確認しましょう!
末梢神経障害は両手両足の末端から始まるため、指先では正しい温度を測ることが難しくなります。
糖尿病から足を守る爪切り
爪切りは明るい場所で行い、くれぐれも深爪に注意して下さい。
長さは、図のようにまっすぐな物に爪を当て、引っかかるか引っかからないか程度が目安です。
①短く切りすぎない
②上から見て直線になるように
③爪の両側はやすりで削る
注意爪の角は絶対に落とさないで下さい。
巻き爪を引き起こしてしまいます。
爪切りは入浴後が最適です。
足の爪は指の爪より硬く切りにくいため、切れ味が鋭い爪切りをおすすめします。
- 切れ味抜群で怪我をしにくい
- 軽い力で切れるため安全
- 断面がザラザラしにくい
2000円前後と安くはない値段設定ですが、
仕上がりと安全性を考慮するとコストパフォーマンスも抜群です。
爪切りが不安な場合や難しい場合には、こまめに爪やすりで削る方法もあります。
爪やすりの方がよりケガをしにくく、安全で仕上がりも綺麗です。
おすすめの爪やすり
赤ちゃんにも使用できる日本製の爪やすりです。
1点1点手作りされています。
ワタオカの爪やすりの特徴は以下の通りです。
- 一般的なやすりの5倍細かい
- 利き手でなくても使いやすい
- 仕上がりが滑らか
あらゆる方面から使用しても、スムーズに削ることが出来ます。
もちろん足の爪にも使用できます。
素材はステンレスで、水洗いも可能です。
巻き爪や爪が厚く切りにくい場合、皮膚科を受診しましょう。
専用のニッパーを使用した安全な処置が受けられます!
糖尿病フットケアと保湿
合併症である自律神経障害だけでなく、加齢も皮膚が乾燥する原因です。
乾燥が進むとひび割れや傷ができやすく、出血してしまうこともあります。
水虫などを防ぐためにも清潔を保ち、最後に保湿を行うことが重要です。
- よく泡立てた石けんで洗う
- 足の指まで優しく洗う
- 洗った後は水分をよく拭き取る
- 必ず保湿クリームを塗る
洗いすぎると乾燥を起こし、皮膚トラブルの原因にもなりますので注意が必要です。
以前ご家族が持参した「ザーネクリーム」を患者さんのかかとに塗っていたことがあります。
厚くカチカチなかかとが、驚くほど滑らかになりましたよ!
おすすめの保湿剤
ザーネクリームは1954年に発売され、現在は海外でも発売されるほど人気があります。
2019年のリニューアル後香りがマイルドになり、チューブタイプも購入しやすくなりました。
伸びがよくサラッとした使い心地で、ベタつき感がないのに保湿力が高くオススメです。
私もリニューアル後久しぶりに購入し全身に使用しています。
アべンヌのトリクセラNTフルイドクリームもおすすめです。
生後1か月の赤ちゃんから高齢者まで使える、肌にやさしいスキンケアクリームです。
生後1か月から使用できる製品は少なく、敏感肌の方にもおすすめ出来る製品となっています。
顔も含めた全身に使用できます。
- 乾燥性敏感肌の方にも
- 柔らかくてなめらかなクリーム
- 肌なじみがよくてベタつかない
トリクセラNTフルイドクリームは、7日間使い続けると48時間保湿が持続するデーターを取得しています。
使用感もミルクに似た使い心地でベタつきません。
のびが良いクリームで、素早く肌に馴染みます。
ベタつきが苦手な方にはこちらをおすすめします!
フットケアと靴下の関係
靴下は履くだけで足を保護する役割があります。
①素足は傷・靴ずれの原因
②家でも必ず靴下を履く
靴下の選び方をまとめます。
- 締め付けない
- 保温性・通気性が良い
- フィットしてズレない
- クッション効果がある
- 内側の縫い目が盛り上がっていない
靴下がきつすぎると、血行を妨げます。
素材は通気性がよい靴下が適しています。
靴下が湿ると皮膚がふやけ、傷が出来やすくなってしまいます。
雨などで濡れた時は、水分を拭き取りよく乾燥させて、新しい靴下に履き替えましょう。
おすすめの靴下
登山用靴下が条件を満たしています。
- 動きを邪魔しないフィット感
- 保温性と通気性に優れる
- 衝撃から足を守るクッション性
- 靴ずれに配慮した縫製
トレッキング靴下と表記されている物も同様の機能があります。
登山用靴下は種類が多いですが、日常生活で使用する分にはトレッキング用靴下で十分です。
トレッキング用靴下も足を守る目的で作られています!
足に傷などトラブルがある時は白や淡色の綿靴下を優先的に選びます。
出血や浸出液にいち早く気付き、悪化を予防することが最重要です!
足に合った靴を履く
靴の購入は夕方がおすすめです。
これは、夕方に足がむくみやすいためです。
靴を履く時には小石などが入っていないか確認する習慣を付けましょう。
神経障害が進むと靴の中の異物にも気付かないことがあるためです。
糖尿病で重要な靴の選び方
- サイズがあっている
- 靴底が安定している
- ヒールが高くない
- 足の甲が高く余裕がある
つま先は1〜1.5cm程の余裕があり、足の甲・指が圧迫されず、甲の高さに余裕がある靴が適しています。
切断から足を守るフットケアまとめ
糖尿病患者さんは神経障害・血流障害・抵抗力低下・視力低下により、足のトラブルを起こすリスクが高いです。
傷・火傷・胼胝(タコ)・鶏眼(ウオノメ)・深爪など
正しいフットケアが行われないと、足の壊疽(腐ってしまうこと)や足切断に繋がります。
顔を洗ったり歯を磨くように、毎日の生活に足のケアを取り入れることが重要です。
これが足の切断を防ぎ、人生の質(QOL)を上げることに繋がります。
糖尿病の治療と合併症予防をまとめたページはこちらです!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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