①糖尿病の方の体で起きていること
②1型糖尿病と2型糖尿病の違い
③初期の糖尿病は自覚症状に乏しい
糖尿病の治療目的は合併症の予防
糖尿病は治す病気ではなく、コントロールする病気と言われています。
糖尿病治療の最終目標は血糖値を下げることではなく、将来的な合併症の予防です。
2型糖尿病に限っては食事療法や運動療法のみで治療可能な例もありますが、何もしなくてよい患者さんはいません。
血糖値を良好に保つことが合併症の予防に重要で、健康寿命を伸ばすことにも繋がります。
糖尿病で病院を受診する意味
- 自分が糖尿病と知らない
- 医療機関を受診していない
- 受診しても通院していない
糖尿病が強く疑われる人の約半数が、上記に当てはまると言われています。
医療機関を受診し、患者さん自身が糖尿病と現在の症状を結びつけ、それによって病識(自分が病気であるという意識)を持つことが重要です。
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病識を持つことがより良い治療に繋がります。
糖尿病治療と血糖コントロール
糖尿病をコントロールするということは、単に血糖値だけをコントロールするというものではありません。
適切な治療を行い、検査値が改善しても生活習慣改善への取り組みは継続するべきものであることを知っていただけたらと思います。
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次に血糖の正常値を解説します。
血糖値の正常範囲と血糖値を下げるインスリン
常に70〜110mg/dl
血糖の調整は、インスリンやグルカゴンなどのホルモンによって行われています。
血糖値を上昇させるホルモンはいくつかありますが、血糖値を低下させるホルモンはインスリンのみです。
インスリンには、血中のブドウ糖(グルコース)を筋肉・肝臓・脂肪細胞に取り込ませ血糖を下げる働きがあります。
インスリンの効きが悪くなったり、分泌量が減ったりすると、高血糖状態が続き糖尿病と診断されます。
高血糖の3つの原因
①インスリンの分泌不足
②インスリンの分泌低下
③インスリンの作用不足
インスリンの分泌不足
膵β細胞の大部分が破壊され、インスリンが産生できなくなることが原因です。
破壊の原因は、遺伝的素因やウイルス感染、自己免疫の関与が考えられています。
これが1型糖尿病の原因です。
インスリンの分泌低下
糖の大量摂取すると血糖値を下げるため、膵β細胞は一生懸命インスリンを分泌します。
この状態が続き、膵β細胞が疲弊することでインスリンの分泌が低下します。
インスリンの分泌低下には、遺伝的素因も関係しています。
2型糖尿病の原因の1つです。
インスリンの作用不全
インスリン分泌量が正常でも肥満などが原因でインスリンの働きが悪くなるとブドウ糖(グルコース)が細胞内に取り込まれなくなります。
これがインスリン作用不全で、インスリン抵抗性といいます。
こちらも2型糖尿病の原因です。
1型糖尿病と2型糖尿病の違い
- 膵β細胞が破壊
- インスリン分泌が消失
- インスリン分泌低下
- インスリン抵抗性
膵β細胞とは、膵臓にあるインスリンを出す細胞のことです。
その他に糖尿病以外の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇し、糖尿病を発症することがあります。
1型糖尿病は糖尿病全体の約5%で、若い方を中心に幅広い年齢で発症します。
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病態に合わせた治療が行われます。
糖尿病の症状とは
口渇・多飲・多尿・倦怠感・脱力感・体重減少などです。
しかしこれらは、血糖値がかなり高くならないと出現しません。
これがこの病気の怖いところです。
発病後「すぐに血糖が極めて高くなる」ことも多く、初発症状が意識障害の場合も
発症後「しばらくの間はっきりとした自覚症状が現れない」ことが多い
このように進行してから発見されることも決して珍しくありません。
健診等で高血糖を指摘された方は、自覚症状がない方が多いです。
よく「自覚症状がないのに糖尿病ですか?」と驚かれます。
糖尿病の自覚症状がない人
自覚症状がないからといって、実際に症状が起きていないとは限りません。
徐々に悪化した症状に慣れてしまい、自身の変化に気づいていない場合もあり注意が必要です。
これが定期通院が必要な理由の1つです。
口渇・多尿・多飲
①高血糖状態が続くと
②血管内の水分量が増加
③排出の為尿量が増加
④脱水と口渇が出現
⑤補うために多飲も出現
血管内に増加した水分を、尿として排出しようとするために尿量が増加します。
多尿と同時に体内の水分が不足するため脱水状態となり、口渇を感じ多飲も出現します。
- 通常:1〜1.5L/日
- 糖尿病:3L以上/日
多尿は尿の量の問題で、トイレに行く回数が増える頻尿とは異なります。
頻尿は分かりやすいですが、多尿は気付かない方もいます。
倦怠感・脱力感
インスリンは血中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギー源として利用させる働きがあります。
インスリンの作用不足により細胞内でブドウ糖が不足すると、筋肉などが十分に活動できません。
倦怠感や脱力感を感じるようになります。
体重減少
細胞内のエネルギー不足が続くと、体内の脂肪や筋肉のタンパク質を分解してエネルギー源とします。
初診時には、過去の最大体重や20歳時の体重も確認しています。
これは20歳時に比べ、体重が10kg以上増えた群は糖尿病を発症するリスクが2倍以上高いという報告があるためです。
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受診前に確認しておきたいこともまとめていますので、ぜひご覧下さい。
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