①原因はインスリン分泌不足
②幅広い年齢で発症する
③分類によって進行のスピードが違う
④治療は強化インスリン療法が中心
1型糖尿病はインスリン分泌が枯渇する
インスリン注射での補充が必要です(インスリン依存状態)
1型糖尿病は膵β細胞が何らかの理由により破壊され、インスリン分泌が枯渇して発症する糖尿病と定義されています。
・急性発症
・緩徐進行
・劇症
それぞれの特徴を解説します。
急性発症1型糖尿病の特徴
- 診断早期よりインスリン治療が中心
- 膵島関連自己抗体が陽性
- インスリン分泌の欠乏が認められる
1型糖尿病で「最も頻度の高いタイプ」です。
膵臓のβ細胞の量が正常の20%以下に低下した時、高血糖に伴う症状が出現するといわれています。
中高年になってから発症する症例も珍しくありません。
自己免疫機序による膵β細胞の破壊が進行し、血液検査で膵島関連自己抗体が陽性になります。
自己抗体が認められなくてもインスリン分泌の欠乏が認められれば診断となります。
インスリンの絶対的欠乏による糖尿病であるため、インスリン治療が中心になります。
発症後、一時的にインスリンの効果が改善する時期(ハネムーン期)がある患者さんもいますが、その後は再びインスリン治療が必要になります。
緩徐進行1型糖尿病の特徴
- インスリン分泌能が緩徐に低下
- 発症後10年以上インスリン依存状態
まで進行しない例もある
発症後すぐは2型糖尿病のようにインスリン注射を使わなくても、食事療法・運動療法で血糖値のコントロールが可能なことが特徴です。
経過中の血液検査で膵島関連自己抗体が検出され緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)だったと分かることもあります。
膵臓に負担をかけるような内服薬は推奨されず、インスリン注射など膵臓を保護する治療を開始することが望ましいといわれています。
インスリン分泌能が比較的保たれている症例では、インスリンの投与量や回数を減らせる場合もあります。
劇症1型糖尿病の特徴
- 速やかにインスリン療法を行う
- 膵島関連自己抗体が陰性
- 70%以上の症例で前駆症状がある
ウイルス感染などをきっかけに、わずか数日で膵β細胞がほぼ一気に破壊されます。
超急性に発症することが多く、著しい高血糖と血液が酸性に傾くこと(高度のアシドーシス)で意識障害を起こしてしまいます。
感冒様症状や腹部症状
前駆症状を70%以上の症例で認めます。
感冒様症状とは風邪に似た症状のことです。
熱がでることも多いです。
1週間前後以内にインスリンが枯渇するために速やかなインスリン治療が必要になります。
膵島関連自己抗体は認めないことが多いです。
診断時血糖値は高いですが症状が急激で、月単位で徐々に上昇するHbA1cは低めです。
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特別な食事は必要なし
基本的に常識の範囲内であれば、避けなければいけない食品はありません。
健康的な食事や食習慣が大事です。
患者さんごとに生活スタイルやインスリン注射などが異なりますので、日常の食事について主治医や管理栄養士に相談することが大切です。
肥満がある方は「適正体重に近づける食事療法」が必要になります。
運動にも制限はない
合併症などがなく、血糖値が安定している場合には運動についても制限はありません。
実際に1型糖尿病と付き合いながら、プロスポーツ選手として活躍されている方もいます。
運動の強度や時間などに合わせて補食(間食)をとったり、運動前後のインスリンの量を調整する方法などがあります。
低血糖には注意が必要です。
低血糖と補食については【低血糖の症状】おすすめのブドウ糖含有商品とジュースの摂取量で、低血糖の対処法を解説しています。
1型糖尿病のまとめ
1型糖尿病は生活習慣・体型・年齢に関係なく発症します。
インスリンをつくる細胞が壊されてしまうため、生活習慣の改善だけでは血糖をコントロールすることができません。
1型糖尿病の場合はインスリンを、注射で補う必要があります。
インスリン注射を打ち血糖値がコントロールできれば、健康な方と変わらない生活を送ることができます。
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