①健診前の食事
②検尿のコツ
③生理と尿検査
④採血の受け方
⑤心電図の受け方
私は勤務先で健診も担当しています。
採血直前に「牛乳を飲んだ」「朝食を食べてしまった」と言われる機会も多いです。
検診結果は食べ物だけではなく、飲み物でも影響する項目があります。
正しい検査結果を得ることは、健診を受ける皆さんにとっても有意義ですし、時間もムダにしません。
ぜひ正しい検査の受け方を確認し、自分の健康状態を正しくチェックしてみて下さい。
今回は検査と食事の関係、健康診断と特定健診で行われる各検査のポイントを解説します!
前日は夜9時までに食事をする
食事制限をお願いするのは、正確な検査結果を得ることが目的です。
- 前日21時以降は食べない
- お酒や暴飲暴食は避ける
- 水分摂取は水がおすすめ
水分の摂取は問題ありませんが、水やお茶など糖分や脂肪分が入っていない物を摂取して下さい。
また、サプリメント・風邪薬・ドリンク剤等も、検尿の結果に影響を及ぼすため避けましょう。
配合されているビタミン類が影響し、正しい検査結果が得にくくなります。
※尿検査自体は食事の影響を受けません。
牛乳や微糖コーヒーもNGです!
空腹時に検査する理由
食事の影響を受ける検査項目があるためです。
本来ならば引っかからない項目が、食事の影響を受けたことで再検査になることもあります。
特定健診や一般的な健康診断の場合、血糖値・中性脂肪を指します。
健康な方の場合、空腹時と同じ状態になるまでに約10時間〜14時間掛かります。
健診の場合、12時間以上絶食した状態を空腹時としています!
これが前日21時以降の絶食をお願いする理由です。
当日は食事を摂らず水分だけ
食事は前日から引き続き絶食です。
ここで指す食事は朝食だけでなく、以下の食べ物も含まれますので注意して下さい。
- ガムやアメ
- 牛乳
- 微糖のコーヒーなど
お茶や自分で入れたブラックコーヒーであれば検査に影響しませんが、うっかり糖分を摂取してしまう方が大変多いです。
水分も検査が終わるまでは水が無難です。
なぜか勘違いされることが多いのが、微糖のコーヒーです。
血糖値が上がるため、正確な結果を得られなくなってしまいます!
食べてしまった場合
もしも摂取してしまった場合は、遅くても採血までに知らせて下さい。
食事の時間と内容が明確であれば、血液検査が可能なこともあります。
食事の影響を考慮した診断が行われますが、正確な結果が得られるわけでないため要注意です。
ただし持病等がある場合、後日の方が望ましい場合もあります。
空腹時の方が間違いありません!
正しい検査の受け方
尿検査・血液検査・心電図検査を解説します。
※特定健診には心電図検査がありません。
胃カメラ・バリウム検査・子宮頚部細胞診・胸部X線撮影(レントゲン)・マンモグラフィは、がん検診の記事で検査の受け方を解説しています。
詳細【がん検診】大腸がんや子宮頸がんなど|科学的根拠がある5つの検診
尿は中間尿を採尿する
健診会場に到着後、尿検査の前にトイレに行く場合は、受付か看護師にお知らせ下さい。
尿は排尿前後の尿はとらず、中間の尿のみ(中間尿)を採尿するのがコツです。
- 排尿してすぐの尿はとらない
- 少し出してから採尿する
- 排尿終わりの尿もとらない
始めの尿は尿道口の細菌が入る恐れがあり、終わりに近い尿は分泌物が入る恐れがあるためです。
検査に適した中間尿を採ります!
生理中の尿検査は基本的に行わない
尿潜血と尿たんぱくの結果に影響するためです。
後日尿検査のみ受けることも可能です。
勤務先では検尿カップと専用スピッツを渡しています。
ご相談いただければ、健診日の変更が可能な場合もあります!
正しい採血の受け方
採血が苦手もしくは倒れた経験がある方は、採血後に転倒する可能性があります。
これは貧血によるものではありません。
「血管迷走神経反射」と言われるもので、痛みや不安・恐怖により誘発されます。
一時的に、めまい・吐き気・失神が起きます。
これらに当てはまる方は要注意です。
- 採血が苦手・怖い
- 採血の経験が少ない
- 気分が悪くなったことがある
私の経験上は、若い方や痛みを感じやすい方は血管迷走神経反射が誘発されやすいです。
事前に教えていただければ、ベッドに横になって安全に採血を受けられます。
心配な方はベッドでの採血がおすすめです!
遠慮せずに教えて下さいね!
採血を失敗されないために
患者さんにできる採血のコツは3つです。
- 親指を中にして握る
- 採血終了まで手を開かない
- 採血後はしっかり圧迫
親指を中に入れると、静脈が怒張し血管が確認しやすくなります。
時々「血管が出にくいからもっと強くと縛って」と言われることがありますが、逆効果です。
反対に血管の確認が困難になります。
強く縛ると動脈の圧迫によって、末梢へ流れる血液量が減少し血管が拡張しないため、一層血管の確認が難しくなります。
採血は静脈で行っています!
静脈は圧迫しながら、動脈を圧迫しない強さが重要なのです!
手を開くタイミングは採血終了後
採血中に手を開いたり、動かしてしまうと針が血管からズレたり、外れてしまうこともあります。
採血者からお願いされるまでは、握ったままで動かないようにしましょう。
「血液が出やすいように」と力を入れたり抜いたりを繰り返す方もいますが、これもNGです。
確かにどうしても血管が出ない方には、血管を探しやすくする目的でお願いすることがあります。
しかし、これは採血前に行う方法です。
筋肉が動くことで、針を正しく固定できなくなります。
これも針が外れる原因になりますので注意が必要です。
採血後の止血のコツ
採血後は反対の手で、採血した場所を軽く押さえ止血します。
上の図のように、採血した方の手を下ろした状態で止血するのがおすすめです。
- テープを貼ってもすぐには止まらない
- 5分間は軽く圧迫する
- 決して揉まない
圧迫が不十分だったり、揉んでしまうと内出血を起こしてしまいます。
採血後青くなる原因の1つです!
よく採血量を聞かれますが、大体大さじ1杯(15ml)ぐらいです!
心電図検査の受け方
対象者の方は心電図も行います。
心電図検査は力を抜き、なるべくリラックスした状態で受けましょう。
話をせずに、安静を保った状態で検査します。
緊張して体に力が入ると心電図の波形が乱れ、正確な記録ができません。
手先や足先も動かさないようにお願いします。
目を閉じてリラックスしてもらうように声を掛けています。
服装も重要です!適切な服装は以下の記事をご覧下さい。
詳細【健康診断】レントゲンや心電図を受ける時にもおすすめの服装
健診のポイントまとめ
もしも食事をしてしまった場合は、時間と内容を控えて看護師にお知らせ下さい。
今回の内容を簡単にまとめます。
- 前日21時以降は水のみ
- 尿は中間尿を採る
- 採血が苦手な人は申し出る
- 採血後は揉まずに5分間圧迫
- 心電図検査はリラックスする
※生理中の検尿は、検査結果に影響を与えるため基本的に行いません。
採血は採血者の指示に従い、動かないようにするのがコツです。
以上のように健診は事前準備が重要です。
健診当日に来ていくべき服装を知っていれば、スマートに健診が受けられます。
以下の記事では、血圧測定・採血・診察を受ける時にも適した服装を紹介しています。
詳細【健康診断】レントゲンや心電図を受ける時にもおすすめの服装
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