①原因となり代表的な食品
②症状が重く、亡くなる例も
③脱水予防が重要
④対症療法が基本
⑤アルコール消毒が有効
感染性胃腸炎でよく聞かれるのはノロウイルスとロタウイルスですが、細菌も原因となります。
潜伏期間が短いものは食中毒だと気付きやすいですが、潜伏期間が長いものもあります。
原因となる食品に特徴があるため、食中毒を疑い、病院を受診される方も多いです。
まずは、各細菌による感染性胃腸炎の特徴を解説します。
患者さんからよく聞かれる注意点も紹介します。
ブドウ球菌は素手での調理
潜伏期間 | 約1〜5時間 |
予後 | ほとんどの場合で良好 通常1〜2日で回復 |
代表的な食品は素手で作られたおにぎりやサンドイッチなどです。
調理する人の手を介して、食品が菌に汚染されることが多いです。
料理をする時には以下の点に注意しましょう。
- 手洗いの徹底
- 食品を10℃以下で保存
- 手指に傷がある時は食品に直接触れない
- 調理後、食べるまでの時間を短縮する
腸炎ビブリオは魚介類
潜伏期間 | 12時間前後 |
予後 | 主症状は1〜2日で軽快 徐々に回復していく |
夏の時期を中心に発生します。
代表的な食品は魚介類とその加工品です。
以前腸炎ビブリオが原因の大規模食中毒が発生し、この時の原因食品はしらす干しでした。
腸炎ビブリオ菌は、十分な加熱で死滅します。
魚介類の低温保存・調理前後の汚染防止が重要となります!
サルモネラは鶏卵・牛肉
潜伏期間 | 約8〜48時間 |
予後 | 小児や高齢者の場合 合併症でなくなることも |
細菌性腸炎で2番目に多いです。
代表的な食品は、鶏卵・牛肉です。
他にも、豚肉・ペットの犬・カメからの感染もみられます。
菌が腸の粘膜深くまで侵入するため、細菌性腸炎の中では最も重症です。
食肉と鶏卵の低温保存管理・調理前後の汚染予防が重要です!
カンピロバクターは鶏肉や牛レバー
潜伏期間 | 約2〜10日 |
予後 | 他の細菌に比べ 症状が軽い傾向がある |
細菌性腸炎で最も多い原因菌で、夏の時期を中心に発生します。
代表的な食品は鶏肉とその加工品・牛レバーです。
感染対策としては、鳥刺しやレバ刺し等の生肉料理を避けたほうがよいです。
カンピロバクターは熱に弱く、食肉の中心までしっかり加熱することが重要です。
調理過程でまな板・手を介しての2次感染も起こります。
生野菜やサラダに菌が付着し、感染を起こしてしまいます。
調理の順番に気をつけることと、加熱しない食物の取り扱いが重要です!
腸管出血性大腸菌(0−157等)は牛肉
潜伏期間 | 約4〜8日 |
予後 | 小児や高齢者は溶血性尿毒症症候群や 脳症を併発してしまうこともある |
感染力が非常に強いです。
代表的な食品は牛肉・牛レバーです。
腸管出血性大腸菌は牛・豚などの大腸に生息しており、便や便で汚染された水、食物を介して感染を起こします。
まず激しい腹痛・水様便が現れ、翌日に血便が現れるのが特徴です。
腸管出血性大腸菌の場合には発熱が軽度か、みられないことも多いです。
特に生肉(レバーやユッケ)から感染することが多いです!
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細菌性胃腸炎の症状
多くで急性胃腸炎症状が現れます。
- 下痢
- 発熱
- 腹痛
- 嘔気(吐き気)
- 嘔吐など
下痢はほとんどの方に現れます。
血便
血便の頻度が高いのは、腸管出血性大腸菌とカンピロバクターです。
サルモネラでも血便が現れることがあります。
高熱を伴う激しい水様便
サルモネラ・カンピロバクターを疑います。
ロタウイルスでも同様の症状が現れます。
激しい腹痛
腸管出血性大腸菌を疑います。
虫垂炎(盲腸)と間違われることも多いです。
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細菌性胃腸炎は対症療法が基本
ウイルス性の感染性胃腸炎と同様に、対症療法が基本となります。
・整腸剤や乳酸菌製剤を処方
・下痢止めはなるべく使用しない
・抗菌薬は細菌や症状に応じて
下痢止めは、お腹の中に細菌を停滞させてしまう原因になります。
回復を遅らせることになりますので、基本的に使用しません。
カンピロバクター・サルモネラ・腸管出血性大腸菌の場合は、症状によって抗菌薬を使用するかが決められます。
脱水予防
発熱や下痢による脱水状態になりやすいです。
経口補水液が体内に吸収されやすく、病院でもおすすめしています。
こちらの記事で、発熱時の対処方法と自宅で作る経口補水液のレシピを解説しています。
詳細【熱が出たらどうする?】食事・水分・冷やし方などの対処法と注意点
アルコール消毒が有効
5つの細菌は、全てアルコール消毒が有効です。
調理器具を介して感染することもあるため、包丁・まな板・食品にも使用できるものを使用しています。
こちらの記事で、細菌性胃腸炎に有効な消毒液と効果的な使い方を解説しています。
詳細【感染予防】おすすめのアルコール消毒液|効果的な濃度と使い方
細菌性胃腸炎のまとめ
感染性胃腸炎は発熱・嘔吐・下痢などの症状があり、つらい思いをしてしまいます。
原因となる食品を調理・摂取する時には、清潔を保ちしっかりと加熱するよう気をつけて下さい。
症状が現れた時には胃腸科か内科を受診しましょう。
感染性胃腸炎についてまとめた記事はこちらです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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