①術後の消毒について
②シャワーの許可が出る理由
③縫合創の洗い方
④傷の観察ポイント
腹腔鏡手術を経験した看護師が、手術で縫合した時の基本を解説します。
縫合後の傷に問題がなければ、早い段階でシャワー浴をすすめられます。
患者さんで「縫ったばかりなのに大丈夫?」と心配される方も多いです。
今回は不安を解消する根拠を基に縫合後のシャワーについて解説します。
手術後の傷に消毒が不要な理由
以前は手術後の傷に消毒が行われていました。
現在、消毒が行われない理由をまとめます。
- 逆に創傷治癒に悪影響を及ぼす
- 約48時間経てば皮膚が塞がる
- 数時間ですぐに常在菌が広がる
傷がふさがる前の消毒は悪影響しかなく、かえって傷の治りが悪くなることが分かっています。
傷がふさがった後は消毒を行っても、皮膚の常在菌が広がり意味がないといわれています。
これは傷に問題がない場合です。
傷の状態が悪い場合には、必要な処置が行われます。
手術創とシャワー浴の関係
縫合した傷(縫合創)は通常48時間程度で皮膚表面の細胞同士がくっつきます。
傷が濡れても水や細菌は入り込みません。
感染などの問題がなければシャワーを浴びることが出来るようになります。
感染が起きた時の症状は、後ほど解説しますね!
縫合後のシャワーと湯船
縫合した傷も汗や垢で汚れます。
清潔に保つため優しく洗うことが大切です。
①泡で優しく洗う
②シャワーで流す
③タオルで優しく拭く
傷あとには優しく触れましょう。
泡で出るボディーソープは簡単に使える為おすすめです!
目安術後の抜糸は縫合後1〜2週間です。
縫合後、湯船に浸かることができるのは通常抜糸をした当日からです。
許可が出るまではお湯には浸からずシャワーやかけ湯のみにして下さい。
剥がれるのを防ぐテープ
テープが剥がれやすい時や、剥がれるのが心配な方にはフィルムドレッシングを使用します。
フィルムドレッシングとは、防水性・透湿性・伸縮性に優れた医療用テープです。
ラップのような見た目をしていますが、もっと極薄で、しなやかにフィットします。
高齢者の弱い皮膚にも安心して使用でき、処置にもよく使用されています。
フィルムドレッシングテープは、傷用テープと同じ日数貼ったままでも問題ありません。
そのため、防水性のないマイクロポアと一緒に使うことも可能です。
病棟では留置針(数日間血管内に留置可能な針)を使用中の患者さんが入浴する時にも使用します。
この方法は傷用テープの保護にも有効ですが、注意点があります。
- そのまま貼らない
- 直接貼ると一緒に剥がれる
- ガーゼを挟むのがポイント
傷用テープの上から直接フィルムドレッシングを貼ると、剥がす時に一緒に剥がれてしまいます。
しかしテープとテープの間にガーゼを挟むと、剥がす時も剥がれません。
下の図を参考にして下さい。
どなたでも購入しやすく、レビューが多いフィルムドレッシングはこちらです。
3つのサイズがあります。
- 50mm
- 100mm
- 150mm
長さは5m・12m・20mの3種類から選べます。
ガーゼまでしっかりカバーするサイズを選んで下さい!
小さいとカバーできないため、まずは100mmがおすすめです!
傷を洗う時シャワーの雑菌が心配
シャワーの雑菌を心配される方もいます。
先程お話ししたように、縫合後は約48時間で皮膚表面の細胞がくっつきます。
水分が入り込むこともありません。
術後48時間が経過していれば、シャワー浴が原因の感染は増えないことも分かっています。
シャワー浴を行うことで清潔が保たれます。
これから感染が起きた時の症状を解説しますね!
縫合した傷の観察ポイント
お風呂の前に傷をしっかり観察しましょう。
変化に早く気付くことが出来ます。
傷の観察ポイントは以下の通りです。
- 赤み・腫れ
- 痛み・熱感
- 出血や浸出液
感染がなければ上記の症状は起こりません。
初めてシャワーを浴びる時には、特に注意して観察して下さい。
感染は傷口が開く原因にもなりますので、早急に医療機関へご相談下さい。
まずは受診した病院へ連絡しましょう。
傷以外には体調も確認します。
発熱には気をつけて下さい!
抜糸後に行う後悔しないケア
抜糸後は傷あとのセルフケアが重要です。
①傷跡の悪化予防
②完治には時間がかかる
③刺激を低減するセルフケア
見た目には分かりませんが、傷は完全に治るまでに3ヶ月〜1年程かかります。
傷が完治する前に刺激が加わると、炎症が収まるのに時間がかかってしまいます。
時に「肥厚性瘢痕」というポコっと盛り上がった、赤い目立つ傷跡になることもあります。
私も腹腔鏡手術を経験した時、テープを使用したセルフケアを行っていました。
傷あとが目立ちにくくなります。
現在は家族が見ても分からない程度まで目立たなくなりました!
おすすめの傷あと用テープ5選は別記事で紹介しています!
腹腔鏡手術を受けた私の場合
術後2日目に初めてシャワーを浴びました。
つまり、皮膚が塞がる48時間が経過してからシャワーの許可が出たことになります。
シャワーが許可後も傷は軽く流すのみで、洗えるようになったのは術後1週間が経過してからです。
私の手術創は3か所で、おへそ上の傷のみ、縫合とボンドが使用されていました。
左右2か所は、表面からは見えない場所で縫合されており、表面はテープが貼られていました。
ちなみに湯船に浸かる許可が出たのは、抜糸した当日のことです。
私の場合は、退院後の診察予約日が術後1ヶ月後だったため、その日に抜糸されました。
医師は縫合後の傷の経過見ながら、シャワーや入浴の許可を出しています。
傷の治りを遅らせないためにも、医師の指示は守りましょう!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
次に読まれている記事はこちら
【マイクロポア】テープの剥がし方と貼り方│貼り替えのコツを解説